今回は、色が変わる不思議なホットケーキ・やきそばの作り方とその原理をご紹介します。ブルーベリーや紫キャベツに含まれる色素の反応を使用して、見た目も美しく味も美味しく楽しめる実験です。
お家で子どもたちと実験しながらお腹を満たせるので、お家で過ごすことが増えた今、学びながら科学の一端に触れるきっかけとして楽しんでいただけましたら嬉しいです。それでは今日も、レッツサイエンスクッキング!
■ブルーベリージャムを使った色が変わるホットケーキ
まずは、ブルーベリージャムを使った色が変わるホットケーキの作り方をご紹介します。
【材料】
・市販のホットケーキミックス 1袋
・牛乳 100ml
・卵 1個
・ブルーベリージャム 大さじ1杯
・レモン汁 少量
【実験方法】
卵1個と牛乳100mlをお皿やボウルに入れて、よくまぜます。
市販のホットケーキミックス1袋を加えて、少しダマが残る程度までかるくまぜます。
ブルーベリージャム大さじ1杯を加えてまぜ、色が変わることを確認します。
ホットプレートやフライパンの上に、まぜた材料を流し込みます。そして、焦げないように焼いていきます。焦げると色の変化が確かめにくくなるので、焦がさないように注意してください。
流し込んだ生地が焼きあがる前に、レモン汁を好きな場所に数滴たらします。レモン汁をたらしたところだけ、赤色に変化します!少量でも反応しますので、かけすぎないように気をつけてください。
ひっくり返して両面を良く焼いたら、完成です!
食べる場所によって色が違うので、楽しいです。レモンの酸味はあまり気にならず、ブルーベリーの風味がしてとてもおいしいです。
■紫キャベツを使った色が変わるやきそば
ブルーベリージャムを使ったホットケーキが上手くできたところで、次は紫キャベツを使った色が変わるやきそばの作り方をご紹介します。
【材料】
・市販のやきそばめん 1袋
・紫キャベツ 1/4玉
・水 60ml
・塩、こしょう 適量
・レモン汁 少々
【実験方法】
紫キャベツを食べたい大きさに切り、ホットプレートやフライパンに入れて炒めます。紫キャベツを切るときは少しかたい部分もあるので、手を切らないように気をつけてください。
市販のやきそばめん1袋を入れて、水60mlを回しかけます。
割り箸などでやきそばめんをほぐしながらしばらく炒め続けると、やきそばめんの色が変化していきます。塩・こしょうを振って好きな味の濃さに味付けし、完成です!
色の変わったやきそばにレモン汁をたらすと、きれいな赤色に変化します。レモン汁は少量でも反応しますので、かけすぎて酸っぱくなりすぎないように気をつけてください。
見た目はとてもすごい色ですが、食べるといつもの(!?)やきそばの味で紫キャベツも美味しいです。レモン汁をかけた場所は少し酸味がありますが、さっぱりして食べやすいです。
■なぜレモン汁をかけると色が変わるの?
ブルーベリージャムを使ったホットケーキや、紫キャベツを使ったやきそばにレモン汁をかけると赤色に変化しました。なぜなのでしょうか?
ブルーベリーや紫キャベツには「アントシアニン」という紫色の色素が含まれています。このアントシアニンは、酸性のものと反応すると赤色、アルカリ性のものと反応すると青色に変化する性質があります。
実際に紫キャベツ溶液に酸性のものを加えた時の反応を見てみましょう。紫キャベツを煮た溶液はアントシアニンの紫色ですが、酸性のお酢やレモン汁を入れると、写真のように赤色になります。
一方、紫キャベツ溶液にアルカリ性の重曹を入れると、紫色から青色に変化します。
※紫キャベツ溶液実験の色の変化の様子は、動画でもお楽しみいただけます。
▼ミキラボ・キッズ【10の手順で自由研究】紫キャベツで実験しよう!【科学実験】
https://www.youtube.com/watch?v=hNm5BrIeDkU
酸性やアルカリ性というのは、その水溶液にどれだけ水素イオンや水酸化物イオンが含まれているかによって決まります。水素イオンが多い酸性の状態では、アントシアニンが青い光を吸収し赤い光を反射する構造となるため赤く見えます。一方、水酸化物イオンが多いアルカリ性の状態では、アントシアニンが赤い光を吸収し青い光を反射する構造となるため青く見えます。
そして、この水素イオンの濃度を表す指標をpHと言い、水素イオン濃度が高いほどpHは小さくなります。具体的には、水素イオン濃度が10倍になるとpHは1減少し、逆に水素イオン濃度が10分の1になるとpHは1増加します。強い酸性のものほどpHは小さく、強いアルカリ性のものほどpHは大きいということになります。
小学校6年生「水溶液の性質」でも本内容の一端について触れますが、水溶液はこのようにして酸性かアルカリ性かを調べることができるのです。
■まとめ
今回は、うちで子どもたちと楽しめる色が変わるホットケーキ・やきそばの作り方と原理をご紹介しました。ブルーベリーや紫キャベツのような食べ物の色素を使った実験は、特別な実験キットがなくても手軽に試すことができることからとてもおすすめです。
また、小学校で習う酸性・アルカリ性の内容に触れることができるため、うちで過ごす時間が増えた今ぜひ科学の一端に触れる機会になれば大変嬉しいです。ぜひ、試してみてください!
■注意事項
・小学生など低年齢の子どもが実験を行うときは、必ず保護者の指導のもとで行ってください。
・ホットプレートやフライパンを使うときは、とても熱くなるので火傷をしないように気をつけてください。
■参考文献
尾嶋 好美 著 「食べられる」科学実験セレクション 身近な料理の色が変わる? たった1分でアイスができる? (サイエンス・アイ新書)(https://www.amazon.co.jp/dp/B073W4MK4N/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1)
■執筆:五十嵐美樹(Twitter:@igamiki0319)
東京大学大学院客員研究員。東京大学大学院修士課程及び東京大学大学院科学技術インタープリター養成プログラム修了。幼いころに虹の実験を見て感動し、科学に興味を持つ。学部在学時に「ミス理系コンテスト」でグランプリを獲得後、子どもから大人まで幅広い層に向けた実験教室やサイエンスショーを全国各地で主催、講師を務める。特技のヒップホップダンスで魅せる「踊るサイエンスショー」は好評を博している。