【ScienceAtHome】じゃがいもや人間で電池を作ってみよう!

■概要

コイルの中で磁石を動かして電気をつくったり、水素と酸素から電気をつくったりと様々な発電方法がありますが、今回は台所にあるもの使って手軽に楽しめる発電実験をご紹介します。身近なものを使って電気をつくることが出来ることから科学実験教室でも実験方法を聞かれることが多く、今回は詳しい手順についてご紹介したいと思います。

まずは導入として、メディア等でも見かけることが多くなった野菜や果物で発電する方法について、次にその応用として台所にあるステンレス製のフォークやアルミホイル、そして人間を使って(!?)発電を楽しむ方法についてご紹介します。

■ポテトバッテリーを作ってみよう!

まずは、じゃがいもで発電するポテトバッテリーの作り方を詳しくご紹介します。

【用意するもの】

・じゃがいも

・ワニグチクリップ

・銅板

・亜鉛板

・LED

・カッター

【実験方法】

じゃがいもにカッターで切れ込みを2か所、平行になるように入れます。銅板と亜鉛板をそれぞれ刺すための切れ込みなので、銅板や亜鉛板の大きさに合わせて切ってください。

切れ込みを入れたじゃがいもに銅板1枚と亜鉛板1枚を刺します。

銅板とLEDの+極(足が長い方)、亜鉛板とLEDの-極(足が短い方)をそれぞれワニグチクリップでつなぎます。

これで回路は完成ですが、部屋を暗くしてみてもLEDは光っていません。

じゃがいも1個でLEDが光らない場合は、どうしたらいいでしょうか?そう、ポテトバッテリーの数を増やしてつないでいきましょう。新しいじゃがいもを用意し、先ほどと同じようにカッターで切れ込みを入れます。

じゃがいも(2個目)の切れ込みに、先ほどと同じように銅板と亜鉛板を刺します。

LEDの+極(足の長い方)とじゃがいも(1個目)の銅板、じゃがいも(1個目)の亜鉛板とじゃがいも(2個目)の銅板、じゃがいも(2個目)の亜鉛板とLEDの-極(足の短い方)をそれぞれワニグチクリップでつなぎます。

つなげて部屋を暗くしてみると…、

LEDが光りました!今回の条件では、じゃがいも2個でLEDが光りました。LEDやじゃがいも、銅板、亜鉛板などの条件によってはより多くのじゃがいもを使うことでLEDを光らせることが出来ます。何個で点灯するのか子どもたちとワクワクしながら、1個ずつ増やしてチャレンジしてみてください!

本実験は動画でもご覧いただけます。

ミキラボ(ジャガイモで電気を作る??【ポテトバッテリー】)

https://youtu.be/nCynsNUz7Bo

■台所にあるものと人間で発電してみよう!

「ポテトバッテリーは、銅板を10円玉、亜鉛板を1円玉で代替することができることを知っているけれどもお金をそういう風に使うのは…、でもそうなると亜鉛板と銅板をこのためだけに買うのも…」という方もご相談にいらっしゃいました。その場合は、台所にあるステンレス製のフォーク・おたまとアルミホイル、人間を使って発電することもおすすめです。

【用意するもの】

・アルミホイル

・ステンレス製のおたまやフォーク

・ワニグチクリップ

・食塩水

・わずかな電気で動くもの(今回はオルゴールを使用、LEDなどでもOK)

 

【実験方法】

アルミホイルを手で握れるサイズまで、折りたたみます。

オルゴールの+極とステンレス製のおたま、オルゴールのマイナス極と折りたたんだアルミホイルをそれぞれワニグチクリップでつなぎます。

両手の平に食塩水をつけて片手でおたま、もう片手でアルミホイルを握ると、電気をつくることが出来ます。

しかし、今回も1人ではオルゴールは鳴りませんでした。先ほどのじゃがいも実験の時に銅板と亜鉛板を増やしたのと同じようにアルミホイルとステンレス製のものを増やしてみます。オルゴールの+極とステンレス製のおたま、アルミホイルとステンレス製のフォーク、アルミホイルとオルゴールの-極をそれぞれワニグチクリップでつなぎます。

そして、もう1人お友達を誘い(笑)、それぞれの両手の平に食塩水をつけてそれぞれ片手にステンレス製のおたまやフォーク、もう片手にアルミホイルを握ると、かすかですがオルゴールが鳴りました!

もっと電気をつくりたいという方は、ステンレス製のものとアルミホイル、お父さんお母さんおじいちゃんおばあちゃんやお友達など、仲間を増やして楽しく実験してみてくださいね!

 

■なぜ発電できたの?

 じゃがいもの汁に亜鉛板が溶け、亜鉛イオンと電子に分かれます。亜鉛イオンはじゃがいもの汁の中に溶け出し、電子はワニグチクリップを伝って亜鉛板から銅板に動きます。この電子の移動によって、電子の流れとは反対向きに電流が生まれLEDが光りました。じゃがいも以外にもレモンなどの果物でも同様に発電することができますので、ぜひ試してみてください!

ステンレスとアルミホイルを使った実験では、食塩水がじゃがいもの汁の役割を、ステンレスが銅板と同じ役割を、アルミホイルが亜鉛版と同じ役割を果たし、電流が流れました。

 

■まとめ

今回は、台所にあるものを使って簡単に電気をつくる方法をご紹介しました。以下注意事項をよく守りながら、ぜひ皆様もお家でお子様と試してみていただけると嬉しいです!

 

■注意事項

・小学生など低年齢の子どもが実験を行うときは、必ず保護者の指導のもとで行ってください。

・カッターを使う際は、手を切らないように気を付けて作業してください。じゃがいもなどの野菜やその他果物等は滑りやすいので、ゆっくり切れ込みを入れてください。

・銅板や亜鉛板は先が尖っているものもあるため、野菜や果物に力を加えながら刺す際は手を切らないように気を付けてください。

・実験に使ったじゃがいもなどの野菜やその他果物等は銅や亜鉛の金属イオンが溶けだしていますので、絶対に食べないでください。

・電気がうまく作れない時は、+極と-極を間違えていないかよく確認してください。

■執筆:五十嵐美樹(Twitter:@igamiki0319)

東京大学大学院客員研究員。東京大学大学院修士課程及び東京大学大学院科学技術インタープリター養成プログラム修了。幼いころに虹の実験を見て感動し、科学に興味を持つ。学部在学時に「ミス理系コンテスト」でグランプリを獲得後、子どもから大人まで幅広い層に向けた実験教室やサイエンスショーを全国各地で主催、講師を務める。特技のヒップホップダンスで魅せる「踊るサイエンスショー」は好評を博している。